REPORT現場レポート
遺体感染管理士の方より寄稿いただきました。
ご紹介させていただきます。
DICM 00610 千葉 佳奈子
ご紹介させていただきます。
DICM 00610 千葉 佳奈子
“遺体用圧迫固定法” に関する研究発表を行いました
— 第56回日本看護学会学術集会(2025年9月/名古屋)にて
発表テーマは、
この研究は、死後ケアを「科学的根拠に基づく看護の一部」として扱う意義を示すものです。
学術集会では様々な視点での研究が多くあり、学びの機会を得ることができ、私自身を成長させてくれる研究となりました。
「この医療処置がされた患者さんの死後の処置は、どうすればいいのか?」
と疑問に思う中、病棟内でも処置に「自信がない」との声もあり、曖味な対応を行ってきたことが明らかになっていました。
その最中、実父の死を経験しました。
父は病院で亡くなった後、死後処置を経て、葬儀場への移動途中、わずか15分程度で口腔内からの出血がありました。
C型肝炎を患っていましたが、祖母が素手で、ティッシュペーパーを使用し拭き取る姿を目にしました。
残された遺族は喪失感の中、出血により遺体の容姿の変化を目にすることで精神面での多大な影響や、「処置をしてもらったのに」と病院への不信感、遺族への感染リスクなど、様々な要因があることに気づきました。
ご遺体の変化は数時間後から始まるため、病院では変化がみられず、家族は帰宅してから変化を目の当たりにします。
看護師は、帰宅後のご遺体の状況やトラブルなどについて知る機会がありません。疾患や検査、災害など生命に関わる研修は多くあっても、ご遺体の処置の知識や技術に関する研修は、自発的に学ぶしかない現状があります。
医療は発達しても、看取りに対しての対応は、学ぶ機会がなく優先順位の低さやギャップを感じました。
この経験から死後の処置に限界があっても、根拠をもった処置を行い、闘病生活を終えた患者さんの最期を見送りたいと思うようになりました。
学会発表においてポスター掲示をしたことで、興味を持ち観覧していただいた方から、
「こんな研究を見てみたかった」
「点滴抜去部からの出血を経験したことがあります」
「遺体用圧迫固定法の写真を撮らせてください」 など
と、声を掛けられ、全国的にも関心がある分野であると感じました。
声を掛けていただいた方の中には、「私も遺体感染管理士に登録をしています」と勤務先の現状と取り組みの状況について意見交換をする機会がありました。
「学んだことを日頃の業務に有効に生かしたい」と思う反面、なかった手技等を新たに周知させ定着させていくことの難しさを同様に感じていました。
けれど、「学びを無駄にしたくない。」
と、今後も地道な活動を継続していくことを、同じ志を持つ仲間と共に頑張っていきたいと思いました。
何度も先生に教えていただいた内容を振り返り実践し、今では手順とポイントを、自信を持って周囲に伝達しています。
以前は、救急病棟に勤務しており、人手不足をはじめ、重症患者さんの対応、緊急手術、緊急入院など日々、休憩も少ない現状がある中で、死後処置は手短に、エンゼルキッドを用いて行っていました。点滴抜去後の処置は、遺体用圧迫固定法導入前はアルコール綿と優肌絆で固定していましたが、看護研究を機に、遺体用圧迫固定法の勉強会を実施しました。
物品の準備の手間を省くため、事前に不織布と伸縮粘着テープをカットし、エンゼルキッドに設置しました。
また、先生のパワーポイントを抜粋し、手順書を、ポイントをしぼりマニュアルとしてラミネート加工し同様の場所に設置しました。
遺体用圧迫固定法の実践研究期間も、スタッフ共有の伝言板で、圧迫固定法の必要性を伝達しました。
しかし、中間アンケートにおいて、「手技が覚えられず手間がかかる」「時間がなかったため実践していない」、との回答がありました。
看護研究を始めて約1年経ちます。継続して必要性を呼びかけてきました。
スタッフの中には、「遺体用圧迫固定法は有効だと思う」と声に出し、自然とエンゼルキッドと遺体用圧迫固定法の物品とラミネート加工したマニュアルを患者さんの元に運び、マニュアルを見ながら実践される様子が見られる反面、「必要性を感じない」との回答をされるスタッフもおり、返す言葉が無かったです。
現在は、他スタッフが死後処置を行った後に、遺体用圧迫固定法が行われているかを、確認させていただき、行われていなければ、スタッフに声をかける取り組みを行なっています。
また、看護部長からは、死後処置は重要な業務の一つであり、今後マニュアルの見直しを行い、院内での共有を図り、死後処置のあり方を見直すきっかけにしたい、との言葉をいただきました。
お寄せいただいたお便りは、同じように悩みながら現場に立つ方々にとって、
そして私にとっても、何よりの励みでございます。
現場には、さぞや葛藤があることでしょう。
人手不足、時間的制約、周囲の理解——
それでも、
「患者さんの最期を、根拠をもって整えたい」
「学びを無駄にしたくない」
そのお気持ち、何よりも、何よりも嬉しく思います。
遺体感染管理士の学びは、
認定資格養成講座の受講からが、死後ケア研究の始まりです。
これからも、ご一緒に学び続けてまいりましょう。
ご質問などございましたら、いつでもメール(電話でも結構です)くださいね。
また、近況をお寄せください。
お待ちしています。
A病棟における死後処置の現状と意識の変化に焦点をあてて
~遺体用圧迫固定法の導入を踏まえて~
勤務先の医療現場で課題となっていた死後処置の方法を改善し、遺体用圧迫固定法を導入した取組みをポスター発表枠で参加しました。~遺体用圧迫固定法の導入を踏まえて~
この研究は、死後ケアを「科学的根拠に基づく看護の一部」として扱う意義を示すものです。
学術集会では様々な視点での研究が多くあり、学びの機会を得ることができ、私自身を成長させてくれる研究となりました。
死後処置業務・学会発表を振り返って
研究を行う以前、業務に携わる中で、「この医療処置がされた患者さんの死後の処置は、どうすればいいのか?」
と疑問に思う中、病棟内でも処置に「自信がない」との声もあり、曖味な対応を行ってきたことが明らかになっていました。
その最中、実父の死を経験しました。
父は病院で亡くなった後、死後処置を経て、葬儀場への移動途中、わずか15分程度で口腔内からの出血がありました。
C型肝炎を患っていましたが、祖母が素手で、ティッシュペーパーを使用し拭き取る姿を目にしました。
残された遺族は喪失感の中、出血により遺体の容姿の変化を目にすることで精神面での多大な影響や、「処置をしてもらったのに」と病院への不信感、遺族への感染リスクなど、様々な要因があることに気づきました。
ご遺体の変化は数時間後から始まるため、病院では変化がみられず、家族は帰宅してから変化を目の当たりにします。
看護師は、帰宅後のご遺体の状況やトラブルなどについて知る機会がありません。疾患や検査、災害など生命に関わる研修は多くあっても、ご遺体の処置の知識や技術に関する研修は、自発的に学ぶしかない現状があります。
医療は発達しても、看取りに対しての対応は、学ぶ機会がなく優先順位の低さやギャップを感じました。
この経験から死後の処置に限界があっても、根拠をもった処置を行い、闘病生活を終えた患者さんの最期を見送りたいと思うようになりました。
学会発表においてポスター掲示をしたことで、興味を持ち観覧していただいた方から、
「こんな研究を見てみたかった」
「点滴抜去部からの出血を経験したことがあります」
「遺体用圧迫固定法の写真を撮らせてください」 など
と、声を掛けられ、全国的にも関心がある分野であると感じました。
声を掛けていただいた方の中には、「私も遺体感染管理士に登録をしています」と勤務先の現状と取り組みの状況について意見交換をする機会がありました。
「学んだことを日頃の業務に有効に生かしたい」と思う反面、なかった手技等を新たに周知させ定着させていくことの難しさを同様に感じていました。
けれど、「学びを無駄にしたくない。」
と、今後も地道な活動を継続していくことを、同じ志を持つ仲間と共に頑張っていきたいと思いました。
死後処置研究を実践しての感想
自分自身も死後処置について、具体的に学んだばかりであったため、初めは実践に自信が持てませんでした。何度も先生に教えていただいた内容を振り返り実践し、今では手順とポイントを、自信を持って周囲に伝達しています。
以前は、救急病棟に勤務しており、人手不足をはじめ、重症患者さんの対応、緊急手術、緊急入院など日々、休憩も少ない現状がある中で、死後処置は手短に、エンゼルキッドを用いて行っていました。点滴抜去後の処置は、遺体用圧迫固定法導入前はアルコール綿と優肌絆で固定していましたが、看護研究を機に、遺体用圧迫固定法の勉強会を実施しました。
物品の準備の手間を省くため、事前に不織布と伸縮粘着テープをカットし、エンゼルキッドに設置しました。
また、先生のパワーポイントを抜粋し、手順書を、ポイントをしぼりマニュアルとしてラミネート加工し同様の場所に設置しました。
遺体用圧迫固定法の実践研究期間も、スタッフ共有の伝言板で、圧迫固定法の必要性を伝達しました。
しかし、中間アンケートにおいて、「手技が覚えられず手間がかかる」「時間がなかったため実践していない」、との回答がありました。
看護研究を始めて約1年経ちます。継続して必要性を呼びかけてきました。
スタッフの中には、「遺体用圧迫固定法は有効だと思う」と声に出し、自然とエンゼルキッドと遺体用圧迫固定法の物品とラミネート加工したマニュアルを患者さんの元に運び、マニュアルを見ながら実践される様子が見られる反面、「必要性を感じない」との回答をされるスタッフもおり、返す言葉が無かったです。
現在は、他スタッフが死後処置を行った後に、遺体用圧迫固定法が行われているかを、確認させていただき、行われていなければ、スタッフに声をかける取り組みを行なっています。
また、看護部長からは、死後処置は重要な業務の一つであり、今後マニュアルの見直しを行い、院内での共有を図り、死後処置のあり方を見直すきっかけにしたい、との言葉をいただきました。
講師 橋本より
寄稿いただきありがとうございます。お寄せいただいたお便りは、同じように悩みながら現場に立つ方々にとって、
そして私にとっても、何よりの励みでございます。
現場には、さぞや葛藤があることでしょう。
人手不足、時間的制約、周囲の理解——
それでも、
「患者さんの最期を、根拠をもって整えたい」
「学びを無駄にしたくない」
そのお気持ち、何よりも、何よりも嬉しく思います。
遺体感染管理士の学びは、
認定資格養成講座の受講からが、死後ケア研究の始まりです。
これからも、ご一緒に学び続けてまいりましょう。
ご質問などございましたら、いつでもメール(電話でも結構です)くださいね。
また、近況をお寄せください。
お待ちしています。